どうやら、黒関係はいつも知り合いの詳しい方につけてもらってるようで、 ○○店長はまったく相場がわからないらしく、 ”今日△△来られへんゆうてたから、ホンマ自分で付けや” と何回も同じことを言っていたのを聞きながら、 私は1枚ずつきっちりと値段をつけていった。 一通りつけ終え、 ”大体こんなもんですけど” と私が言うと、 ”よっしゃ、計算するわ” と先ほどからボールペンでカンカンたたいていた、計算機をたたき始めた。 ”えーと、値段付けた分で、31万やな。値段わからんやつ見せて” といい、5枚ほどだったので、カウンターに持っていくと、 ぱらぱらと一瞬みて、 ”う〜〜〜ん、よっしゃほんだら全部あわして32万でええやろ” と即答。 そんなに高くないので、ええ加減だが、大体の所をついてる値段付けに 少し感心し、 ”じゃあ 32万で” とすぐに現金で、清算を終えました。 このあと、フヒィ〜〜〜と意味不明のため息みたいなものをつき、 ”あ〜〜助かった” と○○店長が言うので、 ”なんでですか?” と聞くと、 ”いやぁ〜〜これまだ金払ってへんねん。来週まで待ってもろてんねん。 まだロックもあるやろ、ロックだけで査定したら120万超えてもうてな〜、 hazel君が32万買うてくれたから、あと△△に黒査定してもろても全部で100ちょいやろ。 残りはサラ金2件はしごで何とかなるわ。あ〜〜よかった。” だいたい買取のレコとはいえ預かりもんを先に売って金にし、残りの支払いを サラ金はしごで都合し、”あ〜〜助かった”と言える並外れた根性といい、 自転車操業を超えた逆噴射的な商売のやり方といい、 いったいどうなってるんだこの人の中身は。と深く考えることもなく、 私は黒がいっぱい手に入ったので、うれしくて早く家に帰りたい気持ちでいっぱいだった。 しかし、1つ軽い疑問が残ったので、○○店長にぶつけてみた。 ”店長、俺今日買ったやつ、弁護士の先生 やっぱり返してくれゆうたらどうするんですか?” と言うと、 ”あっ!そや、忘れとった。え〜〜〜っと(約20秒) 金払うまで、電話に出んとくわ。ちょっとの辛抱や。 安心してもって帰ってええで。” とんでもない回答が返ってきたので、 ”それじゃあ帰ります。また来ます。” と言い店を後にした。 この店は今はもう無いが、数々の伝説を残していたことには間違いない。 私はここの店で働いたことは無いのだが、かなり側近で、数々の珍事を 目撃、体験してきたので、また機会があれば、紹介したいと思います。 2日後、電話をかけましたが、普通だったがごっつい低い声で、 ”はい、○○○○○です” と電話に出ていたので、一安心だろうな。よかった。と思いましたが、 待てよ、支払い日はまだたったような気がする。 ”店長、弁護士の先生の支払いもう終わったんですか?” とたずねると、 ”いや、まだや、よう考えたら、電話に出えへんかったら、 サラ金が金貸してくれへんから、電話に出るようにしたんや。 そやけど先生からかかってきたらまずいから、声色変えてんねん。 これやったら、店の従業員やゆうて居留守つかえるやろ。 幸いかかってはきてへんけどな。明日金払うからもう少しの辛抱や。” 2日後、無事に?支払いを終えたらしく、 電話の声は普通になっていた。 終わり