僕がまだレコード集めにいそしんでいるころの話。4話連続 あるレコ屋から電話があった。 携帯電話などない時代(というかあったけど、プラトーンの無線兵が持ってるようなでかいやつ) でしたので、家のほうにかかってきて、 ”hazel君(私ですがあえて仮名)、黒ようさんは入ってきたで。” (黒とは専門用語で、ソウル系のレコードのこと) 私はマージャンで買った金と、バイトの給料が入ったとこなので、 ”今すぐいきます” といってすぐに駆けつけた。 ”まいど”と挨拶をし、カウンター内に呼ばれ、 カウンター内はレコードの山。 ”hazel君、黒はここや” といい、狭いカウンター内の一角を指差した。 下を見ると無造作においてある黒の数々。 この感じは若くして、すでににおいで感じ取れるようになっていた。 200枚はあっただろう。 私”ようさんはいったんですね。全部買い取り?” ”そうや、hazel君が一番や、ええもんあるで〜〜たんとこうて” 私”それじゃあ見してもらいます” といい、じっくりと見ていくと、あるわあるわ欲しいものばかり、 貴重盤の数々、しかも全部きれいでピカピカ。 私”これはすごいですね。誰ですか売ったのは。知り合いですか” ”知らん人やけど、弁護士の先生らしいわ” 私”へえ〜〜コレクター廃業ですかね〜” ”よお知らんけど、黒の他にもロックのレコードもあって、全部で2000枚ほどあったわ。” 私”○○さん、ということはこれ、黒だけちゃんとわけはったんでっか?” ”黒はようさん買う人多いから、ちゃんと分けた。見やすいやろ” とおおよそこの人からは考えられないような几帳面な一面を見た。 というのもこの店に初めて来たときの強烈な印象が、ずっとあるからだ。   つづく